そして結婚式の日。
結婚式の朝、友人宅に来たお迎えの車に乗り込んだ途端、指輪を忘れたと言って慌てて出て行くドS。
逃げられたか!?
程なく帰って来たドSに安堵するも、今度は私がベールを忘れて取りに走るハメに。
そんな感じでバタバタと美容院へ。「どんなメイクにしましょうか?」と言われたので「ドラァグクイーンみたいに」と言うとドSが目を剥いていたので、ちょっと派手な程度にしてもらいました。
この時のヘアメイクさんも、マリッジライセンスの受付の人も、カメラマンも、そして教会の神父さんも、自然に「おめでとう」と言ってくれる。本当にここは同性結婚が認められているんだ、と実感しました。
そして、今回の式で唯一(?)こだわったブーケが到着!
百合とレインボーローズ、そしてレインボーのリボン。こんなベタな要望にも答えてくだすって、とても素敵なブーケになってるじゃないの。頭にも百合を刺してくれ、という私の要望に「どんなアホっぽい感じになるんだろう?」という周りの心配も杞憂に終わり、ヘアメイクさんの神業で百合ヘアが出来上がりました。
百合ヘアの耳にはレインボーそしていよいよLの世界でシェーンとカルメンが入り口で×××した教会に到着。
私は大学が礼拝必須のキリスト系だったので、教会の荘厳な雰囲気はとても懐かしい。ドSは教会内に初めて入ったと言って、ステンドグラスや最後の晩餐の絵を前日のリハーサルでは楽しそうに眺めていたけれど、当日は流石に緊張した面持ち。
教会で、上司に頂いた花嫁衣裳に着替え。ドSも「想像してたよりずっと綺麗」と言ってくれました。ほどなく泊めてくれた友人カップルも到着。フェム×フェムの2人はものすごくドレッシー&セクシーに決めてきてくれてうれしかったわ。
バージンロードは結局2人で最初から手を繋ぎ、私がドSを引っ張るような感じで入場。
壇上に上がる前にベールをドSに上げてもらいます。
昔は女性は男性のものという意味でキスの直前に上げていたけれど、今は女性が自分の意志で結婚するという意味もあって式の前に上げるそうな。それをリハーサルで聞いた私は「じゃあ私は自分でめくり上げるわ」と言ったらあきさんはウケてくだすったけど、ドSの「ベールは私がめくりたい!」という結婚式における数少ない要望をきいて、ドSに上げてもらうことになったのです。
パイプオルガンの演奏の中、真ん中に牧師さん、左右にあきさん、こんさん。厳かに式は進行。
私は感極まってブーケがぶるぶる震えてしまい、目からの熱いものをこらえるのに必死。2時間かけた神業メイクが落ちてしまうでないの。
しかし目でせき止められた涙がいっせいに鼻へと向かってるのを感じ、ああ、ならばやはり目からと我慢をやめた途端、ぐわっと目からも鼻からも溢れてしまいました。
すかさずダンディこんさんが、サッとティッシュを渡してくだすって事なきを得たのですが。
しかし、私とドSが向かい合って手を取り合い、誓いの言葉を言うときに奇跡が起きました。
なんと、ドSの目に涙がキラリ☆
私は思わずニヤリ☆
だって、この10年間にドSの涙を見たのなんて、3回くらいよ。それも箪笥の角に小指ぶつけたとかそんな外的痛み以外では泣かない鉄の女よドSは。
うれしいじゃないの。そのとき私はもう一生彼女を守っていこうと、彼女のうれし涙以外を流させないと、心に固く誓ったのでした。
彼女との初めて人前でする誓いのキスは慣れてないのであまりにぎこちなかったと思われます。
2人でキャンドルに火をともすとき、まだ震えていた私の手に蝋燭が垂れて心の中でギャーと悲鳴をあげたのに気づいたドSが心配するハプニングもありましたが、結婚証明書へのサイン、そしてパイプオルガンの「パカパパーン!」というあの結婚行進曲が流れて退場するまで、夢の中ような気持ちでした。
ここに母もいてくれたら、日本の友人もいてくれたら、と思いましたが、2人と少人数で挙げるのも厳かで心温まるものでした。
式後、教会の庭で食べたケーキやシャンパンも美味しくて、カメラマンの女性にあらゆる羞恥的なポーズを指示され撮られるのに照れつつ、ディズニーランドよりも夢溢れてエキサイティングな経験となりました。
この誓いを未来にずっと繋げて行きたいと思っています。
出席した現地の友人が描いてくれた絵翌日はダイクマーチ、その次の日はゲイパレード、ゲイゲイしい旅行日記はまだまだ続きますわ。